磯による波に心のあらはれて
寝覚めがちなる苫屋形かな
- 歌の意味
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磯に寄せる波に心が洗われるように、驚きがあらわになって、とかく目を覚ましがちな苫屋形の中であることよ。
- 鑑賞
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雑歌 1166
詞書「同じ絵に、苫の内に人の子驚きたる所を」
前歌と同じ屏風絵の、苫屋の中で子どもが目を覚まして驚いている場面を詠んだ一首である。磯に寄せる波の音に心が洗われ、また驚きがあらわになって、とかく夜中に目覚めがちな苫屋形であることよ、と詠む。
絵の中で子どもが驚いて目を覚ましている理由を、磯に寄せる波の音に求めて、場面に物語を与えている。「あらはれて」に洗われると現れるとを掛け、波の縁語で一首を仕立てている。
初句「磯による」は、磯に打ち寄せる、の意である。
二句「波に心の」は、波によって心が、の意である。
三句「あらはれて」は、心が波に「洗はれ」る意と、驚きが「現れ」る意を掛けた掛詞である。
四句「寝覚めがちなる」は、とかく夜中に目を覚ましがちな、の意である。
結句「苫屋形かな」の「苫屋形」は苫で屋根を葺いた舟の屋形、または苫屋で、「かな」は詠嘆の終助詞である。
とまやかた:苫で屋根を葺いた舟の屋形、また苫葺きの小屋
あらふ:波に「洗はれ」る意と、驚きが「現れ」る意を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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磯菜摘む海人のさをとめ心せよ 沖吹く風に波高くなる
- 次の歌
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紅の色濃き梅を折る人の 袖には深き香やとまるらん