- 歌の意味
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春風が桜の花を隣へ吹き寄せるとしたら、桜の主は、隣のせいでつらいと思うだろうか。
- 鑑賞
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雑歌 1168
詞書は前の歌に続き「庚申の夜、孔子配りをして歌よみけるに、古今、後撰、拾遺、これを、梅、桜、山吹、に寄せたる題を取りてよみける:後撰、桜を寄す」
前歌と同じ庚申の夜の題詠のうち、後撰集を桜に寄せた一首である。春風が桜の花びらを隣家へ吹き寄せたなら、桜の持ち主は、花を隣に取られるようで、隣があることを苦々しく思うだろうか、と詠む。
花を惜しむ持ち主の心を、隣家との関係に見立ててユーモラスに描いている。後撰和歌集に見られる、日常の機微を詠む軽妙な詠みぶりを桜に託したものと見られる。
初句「春風の」は、春の風が、の意である。
二句「吹きおこせむに」は、こちらから吹き寄せるとしたら、の意で、「む」は仮定を表す。
三句「桜花」は、その対象となる桜の花である。
四句「隣苦しく」は、隣があることをつらく、の意で、花が隣へ散ることを惜しむ心を表す。
結句「主や思はん」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「ん」で結び、持ち主は思うだろうか、と推し量っている。
ふきおこす:風が吹いてよこす
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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紅の色濃き梅を折る人の 袖には深き香やとまるらん
- 次の歌
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山吹の花咲く井手の里こそは やしうゐたりと思はざらなん