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苔埋む揺るがぬ岩の深き根は
君が千歳を固めたるべし

歌の意味
苔に埋もれた、揺るぎない岩の深い根は、わが君の千年の命を固めているにちがいない。
鑑賞
雑歌 1172

詞書は前の歌に続き「祝ひ」
 苔に埋もれて揺るぎない岩の深い根は、わが君の千年の命をしっかりと固めているにちがいない、と詠む。
 苔むす岩は長い年月と不動のものの象徴であり、その深い根が君の長寿を支え固めていると見立てて、治世の安定と君の長寿とを祝っている。苔と岩という、長い歳月を経たものの取り合わせが祝意を深めている。

 初句「苔埋む」は、苔に覆われて埋もれた、の意で、長い年月を経たことを示す。
 二句「揺るがぬ岩の」は、揺らぐことのない岩の、の意である。
 三句「深き根は」は、地中深くに張った岩の根もとは、の意である。
 四句「君が千歳を」は、わが君の千年の命を、の意である。
 結句「固めたるべし」の「べし」は推量の助動詞で、固めているにちがいない、と結ぶ。

ちとせ:千年、長い年月
作者
西行
出典
山家集
前の歌
千世経べきものをさながら集むとも 君が齢を知らんものかは
次の歌
群れ立ちて雲居に鶴の声すなり 君が千歳や空に見ゆらん