群れ立ちて雲居に鶴の声すなり
君が千歳や空に見ゆらん
- 歌の意味
-
群れをなして飛び立ち、空高く鶴の鳴く声がするようだ。わが君の千年の命が、空に見えているのだろうか。
- 鑑賞
-
雑歌 1173
詞書は前の歌に続き「祝ひ」
群れをなして飛び立った鶴が、空高く鳴く声が聞こえてくる、わが君の千年の命が空に見えているのだろうか、と詠む。
鶴は千年を生きるとされる長寿の鳥であり、その鶴が群れて空に鳴くさまに、君の長寿が天に現れていると見ている。「雲居」は空と宮中の両方を意味し、君の治める宮廷を響かせている。
初句「群れ立ちて」は、群れをなして飛び立って、の意である。
二句「雲居に鶴の」の「雲居」は空の意で、宮中の意も響かせ、「鶴」は千年の長寿を象徴する鳥である。
三句「声すなり」の「なり」は推定の助動詞で、声がするようだ、と聞いて判断する意を表し、三句切れとなる。
四句「君が千歳や」の「や」は疑問の係助詞で、結句の連体形「らん」で結ぶ係り結びとなる。
結句「空に見ゆらん」は、空に見えているのだろうか、の意で、鶴の姿に君の長寿を重ねている。
たづ:鶴の歌語
くもゐ:空。宮中の意もある
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
苔埋む揺るがぬ岩の深き根は 君が千歳を固めたるべし
- 次の歌
-
沢辺より巣立ち始むる鶴の子は 松の枝にや移り初むらん