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数かくる波に下枝の色染めて
神さびまさる住吉の松

歌の意味
数知れず打ち寄せる波に下枝の色を染めて、いっそう神々しさを増してゆく住吉の松であることよ。
鑑賞
雑歌 1180

詞書は前の歌に続き「祝ひ」
 数知れず打ち寄せる波に下枝の色を染められて、ますます神々しさを増してゆく住吉の松であることよ、と詠む。
 住吉の松は、住吉明神の社頭の松として、長寿と神威の象徴とされた歌枕である。波が寄せた回数を数えるように、長い年月を経て神さびてゆく松に、御代の長久を重ねて祝っている。本巻の第千五十四首でも住吉の松が波とともに詠まれている。

 初句「数かくる」は、数を重ねて打ちかける、の意で、波が寄せた回数の多さを表す。
 二句「波に下枝の」の「下枝」は、下の方の枝の意である。
 三句「色染めて」は、色を染めて、の意で、波しぶきに濡れて色が深まるさまを表す。
 四句「神さびまさる」は、ますます神々しくなる、の意である。
 結句「住吉の松」は体言止めで、摂津の住吉社の松を示している。

しづえ:下の方の枝
かみさぶ:神々しくなる、古びて趣が深まる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
万代のためしに引かん亀山の 裾野の原に茂る小松を
次の歌
若葉さす平野の松はさらにまた 枝に八千代の数を添ふらん