この春は枝々までに栄ゆべし
枯れたる木だに花は咲くめり
- 歌の意味
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この春は、枝々に至るまで栄えるにちがいない。枯れた木にさえ花は咲くようであるから。
- 鑑賞
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雑歌 1186
詞書「世に仕へぬべきゆかりあまたありける人の、さもなかりける事を思ひて、清水に年越しに籠もりたりけるに、遣はしける」
世に出て仕えるはずの縁故の多い人が、思うように出世できないことを嘆いて、清水寺に年越しの参籠をしていたときに贈った一首である。この春は枝々に至るまで栄えるにちがいない、枯れた木にさえ花は咲くようだから、と励ましている。
清水寺の観音の霊験によって、枯れ木にも花が咲くように、不遇の身にも栄える春が来ると祝っている。「枝々」は一族の人々をも暗示し、一門全体の繁栄を願う心が込められている。次の第千百八十七首と一組で贈られている。
初句「この春は」は、来る新しい春は、の意である。
二句「枝々までに」は、枝の一本一本に至るまで、の意で、一族の人々をも暗示している。
三句「栄ゆべし」の「べし」は推量の助動詞で、栄えるにちがいない、の意を表し、三句切れとなる。
四句「枯れたる木だに」の「だに」は類推の副助詞で、枯れた木にさえ、の意である。
結句「花は咲くめり」の「めり」は推定の助動詞で、花は咲くようだ、と観音の霊験を示している。
としごし:年越し、大晦日から元日にかけて
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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子の日する野辺の我こそ主なるを 五葉なしとて引く人のなき
- 次の歌
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あはれにぞ深き誓ひの頼もしき 清き流れの底汲まれつつ