山深みさこそあらめと聞こえつつ
音あはれなる谷の川水
- 歌の意味
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山が深いので、なるほどこうもあろうかと思われるように聞こえてきて、音のしみじみと哀れな谷川の水であることよ。
- 鑑賞
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雑歌 1198
詞書「入道寂然、大原に住み侍りけるに、高野より遣はしける」
寂然が大原に住んでいた頃、西行が高野山から送った十首の連作の一首目である。山が深いのだから、なるほどこうもあろうと思われるように聞こえてきて、その音がしみじみと哀れな谷川の水だ、と詠む。
十首はいずれも初句を「山深み」とし、高野の山中の暮らしの景物を一首ごとに取り上げて、深山の寂寥を友に伝えている。これに対して寂然は、第千二百八首からの十首で、いずれも結句を「大原の里」とする返歌を寄せており、初句をそろえた西行の十首と、結句をそろえた寂然の十首とが、対をなす名高い贈答となっている。本歌の谷川の水音は、寂然の第千二百十二首の「水の音」と響き合っている。
初句「山深み」の「み」は原因を表す接尾語で、山が深いので、の意である。十首すべてに共通する初句である。
二句「さこそあらめと」の「こそ〜め」は係り結びで、なるほどそうであろうと、の意を表す。
三句「聞こえつつ」は、そう聞こえてきて、の意である。
四句「音あはれなる」は、音がしみじみと哀れな、の意である。
結句「谷の川水」は体言止めで、谷を流れる川の水音を余韻として残している。
たにのかはみづ:谷を流れる川の水
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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かひありな君が御袖に覆はれて 心にあはぬこともなき世は
- 次の歌
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山深み槙の葉分くる月影は はげしきものの凄きなりけり