- 歌の意味
-
一人で住む私にとって、朧の清水が友としては月を澄ませて住まわせている、大原の里であることよ。
- 鑑賞
-
雑歌 1209
詞書は前の歌に続き「返し」
寂然の十首の二首目である。一人で住む私の友として、朧の清水が月を澄んで映し、住まわせている大原の里だ、と詠む。
朧の清水は大原の寂光院の近くにある名所である。「すむ」「すます」に住むと澄むとを掛け、一人住む人と、清水に澄む月とを重ねている。西行の第千百九十九首が高野の凄みのある月を詠んだのに対し、ここでは大原の清水に澄む穏やかな月が詠まれ、対照をなしている。
初句「ひとりすむ」の「すむ」は、「住む」と「澄む」を掛けた掛詞で、一人で住む、の意に清水の澄むさまを重ねている。
二句「朧の清水」は、大原にある清水の名所である。
三句「友とては」は、友としては、の意である。
四句「月をぞすます」の「すます」は、月を「住ます」と「澄ます」を掛けた掛詞で、「ぞ」は強意の係助詞である。
結句「大原の里」は体言止めで、連作に共通する結句である。
おぼろのしみづ:大原にある清水の名所
すむ:「住む」と「澄む」を掛ける
- 作者
-
寂然
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
あはれさは高野と君も思ひやれ 秋暮れ方の大原の里
- 次の歌
-
炭竈のたなびく煙ひとすぢに 心細きは大原の里