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あだに葺く草の庵のあはれより
袖に露置く大原の里

歌の意味
粗末に葺いた草の庵の哀れさから、袖に涙の露を置く大原の里であることよ。
鑑賞
雑歌 1213

詞書は前の歌に続き「返し」
 寂然の十首の六首目である。いい加減に葺いた粗末な草の庵の哀れさから、袖に涙の露を置くことになる大原の里だ、と詠む。
 雨露をしのぎきれない粗末な庵の住まいに、袖の露すなわち涙を重ねている。草の庵から漏れる露と、哀れさに流す涙とが一つになっている。西行の第千二百一首の苔の筵と同じく、山里の質素な住まいが詠まれている。

 初句「あだに葺く」は、いい加減に、粗末に葺いた、の意である。
 二句「草の庵の」は、草で葺いた粗末な庵の、の意である。
 三句「あはれより」は、その哀れさから、の意である。
 四句「袖に露置く」は、袖に露を置く、の意で、涙を響かせている。
 結句「大原の里」は体言止めで、連作に共通する結句である。

あだなり:いい加減である、粗末である
作者
寂然
出典
山家集
前の歌
水の音は枕に落つる心地して 寝覚めがちなる大原の里
次の歌
山風に峰のささ栗はらはらと 庭に落ち敷く大原の里