古典和歌stream

敷島や絶えぬる道に泣く泣くも
君とのみこそ跡を偲ばめ

歌の意味
敷島の歌の道が絶えてしまった中で、泣く泣くも、あなたとだけは、その跡を偲んでゆこう。
鑑賞
雑歌 1229

詞書「返し」
 前歌の西行の歌に対する寂然の返歌である。和歌の道が絶えてしまった今、泣く泣くではあっても、あなたとだけは、その道の跡を偲んでゆこう、と応えている。
 西行の嘆きを受け止め、歌の道が衰えた世でも、二人で歌の伝統を守り偲んでゆこうという、友としての決意を示している。「跡」には、道の跡と、崇徳院の歌の業績の跡とが重ねられていると見られる。

 初句「敷島や」の「敷島」は大和の国、転じて和歌の道を指し、「や」は詠嘆の間投助詞である。
 二句「絶えぬる道に」は、絶えてしまった道に、の意で、前歌の「絶えにし」を受けている。
 三句「泣く泣くも」は、泣きながらも、の意である。
 四句「君とのみこそ」の「こそ」は強意の係助詞で、結句の已然形「め」で結ぶ係り結びとなる。
 結句「跡を偲ばめ」の「め」は意志の助動詞「む」の已然形で、跡を偲んでゆこう、と結ぶ。

しきしま:大和の国。転じて和歌の道
作者
寂然
出典
山家集
前の歌
言の葉の情け絶えにし折節に あり逢ふ身こそ悲しかりけれ
次の歌
世の中を背くたよりやなからまし 憂き折節に君逢はずして