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目の前に変はり果てにし世の憂さに
涙を君に流しけるかな

歌の意味
目の前ですっかり変わり果ててしまった世のつらさに、あなたまで涙を流させてしまったことよ。
鑑賞
雑歌 1235

詞書「返し」
 前歌の西行の歌に対する、讃岐の崇徳院に仕える女房の返歌である。目の前ですっかり変わり果ててしまった世のつらさのために、あなたにまで涙を流させてしまったことだ、と応えている。
 西行が涙を形見として院を思うと伝えたのに対し、院の境遇の激変がそれほどまでに西行を悲しませたことを、院の側から申し訳なく思う心が表れている。作者の女房は名が記されていない。この返歌は三首あり、次の二首が続く。

 初句「目の前に」は、目の当たりに、の意である。
 二句「変はり果てにし」は、すっかり変わってしまった、の意で、「にし」は完了と過去の助動詞である。
 三句「世の憂さに」は、世のつらさのために、の意である。
 四句「涙を君に」は、涙をあなたにまで、の意で、前歌の「落つる涙」を受けている。
 結句「流しけるかな」は、流させてしまったことよ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。

かはりはつ:すっかり変わってしまう
出典
山家集
前の歌
その日より落つる涙を形見にて 思ひ忘るる時の間もなし
次の歌
松山の涙は海に深くなりて 蓮の池に入れよとぞ思ふ