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わりなしや我も人目を包む間に
しひても言はぬ心尽くしは

歌の意味
どうにもならないことだ。私も人目をはばかっているうちに、強いて打ち明けもしないで思い悩むこの心づくしは。
鑑賞
雑歌 1244

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 どうにもならないことだ、相手ばかりでなく私も人目をはばかっているうちに、無理に打ち明けることもせずに、あれこれと思い悩むこの心づくしは、と詠む。
 互いに人目を忍ぶために思いを伝えられず、ただ心をすり減らすばかりの苦しさを詠んでいる。前の歌々に続き、忍ぶ恋の段階が詠まれている。

 初句「わりなしや」は、どうにもならないことだ、と嘆く初句切れである。
 二句「我も人目を」の「も」は、相手ばかりでなく私も、の意を表す。
 三句「包む間に」は、はばかっているうちに、の意である。
 四句「しひても言はぬ」は、強いて打ち明けもしない、の意である。
 結句「心尽くしは」は、あれこれと思い悩むことは、の意で、倒置によって嘆きの対象を示している。

わりなし:どうにもならない、道理に合わない
こころづくし:あれこれと思い悩むこと
作者
西行
出典
山家集
前の歌
包めども涙の色にあらはれて 忍ぶ思ひは袖よりも散る
次の歌
なかなかに忍ぶけしきやしるからん 変はる思ひにならひなき身は