今はただ忍ぶ心ぞつつまれぬ
嘆かば人や思ひ知るとて
- 歌の意味
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今はもう、忍ぶ心も包み隠すことができない。嘆いてみせれば、あの人も思い知ってくれるかと思って。
- 鑑賞
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雑歌 1254
詞書は前の歌に続き「恋百十首」
今はもう、忍ぶ心も包み隠してはいられない、嘆いてみせれば、あの人も私の思いを思い知ってくれるかと思って、と詠む。
これまで忍ぶ恋を貫こうとしてきた心が変わり、かえって嘆きを表に出して相手に思いを知らせようとするに至っている。忍ぶ恋から、思いを知らせる恋への転換が示されている。
初句「今はただ」は、今はもう、ひたすら、の意である。
二句「忍ぶ心ぞ」の「ぞ」は強意の係助詞で、三句の連体形「ぬ」で結ぶ係り結びとなる。
三句「つつまれぬ」の「れ」は可能の助動詞、「ぬ」は打消で、包み隠すことができない、の意を表し、三句切れとなる。
四句「嘆かば人や」は、嘆いたならばあの人も、の意で、「や」は疑問の係助詞である。
結句「思ひ知るとて」は、思い知るかと思って、の意で、倒置によって隠さない理由を示している。
つつむ:包み隠す
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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我が嘆く心のうちの苦しさも 何にたとへて君に知られん
- 次の歌
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心には深くしめども梅の花 折らぬ匂ひはかひなかりけり