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待ちかねて夢に見ゆやとまどろめば
寝覚めすすむる荻の上風

歌の意味
待ちきれずに、夢にでも見えるかとまどろむと、目を覚ませとせき立てる荻の葉を吹く風であることよ。
鑑賞
雑歌 1267

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 恋しい人の訪れを待ちきれず、せめて夢にでも見えるかとうとうとすると、荻の葉を吹く風の音が、目を覚ませとせき立てる、と詠む。
 荻の葉音は人の訪れを思わせるものとして和歌に詠まれる。夢での逢瀬さえ妨げられ、しかもその音が人の訪れかと思わせては期待を裏切る、二重のつらさを詠んでいる。

 初句「待ちかねて」は、待ちきれずに、の意である。
 二句「夢に見ゆやと」は、夢に見えるかと、の意で、「や」は疑問である。
 三句「まどろめば」は、うとうとすると、の意である。
 四句「寝覚めすすむる」は、目覚めをうながす、の意である。
 結句「荻の上風」は体言止めで、荻の葉の上を吹く風を示している。

まどろむ:うとうとする
をぎのうはかぜ:荻の葉の上を吹き渡る風
作者
西行
出典
山家集
前の歌
朝露に濡れにし袖を干すほどに やがて夕立つ我が袂かな
次の歌
包めども人知る恋や大井川 堰の隙を潜る白波