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今よりは逢はで物をば思ふとも
後憂き人に身をばまかせじ

歌の意味
これからは、逢わずに物思いをすることになっても、後でつらい思いをさせる人に、身をまかせることはすまい。
鑑賞
雑歌 1270

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 これからは、たとえ逢えずに思い悩むことになっても、後でつらい思いをさせるような人には、身をまかせることはすまい、と詠む。
 逢瀬の後に冷たくなった相手に傷つき、もう二度と身を任せまいと決意する心である。前歌で逢うまでの命を願ったことを悔いたのに続き、恋の苦さを知った者の決意が表れている。

 初句「今よりは」は、これから先は、の意である。
 二句「逢はで物をば」の「で」は打消の接続助詞で、逢わずに物思いを、の意である。
 三句「思ふとも」の「とも」は逆接の仮定条件で、思い悩むとしても、の意である。
 四句「後憂き人に」は、後でつらい思いをさせる人に、の意である。
 結句「身をばまかせじ」の「じ」は打消意志の助動詞で、身をまかせはすまい、と結ぶ。

のちうし:後でつらい思いをさせる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
逢ふまでの命もがなと思ひしに 悔しかりける我が心かな
次の歌
いつかはと答へんことのねたきかな 思ひ知らずと恨み聞かせば