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あやにくに人目も知らぬ涙かな
堪へぬ心に忍ぶかひなく

歌の意味
あいにくなことに、人目も構わずに流れる涙であることよ。こらえきれない心で忍んでいる甲斐もなく。
鑑賞
雑歌 1273

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 あいにくなことに、人目もはばからずにあふれ出る涙であることよ、こらえきれない心で忍んでいる甲斐もなく、と詠む。
 忍ぼうとする意志に反して、人目のある所でも流れてしまう涙を恨めしく思っている。前歌に続き、恋の涙を主題としている。

 初句「あやにくに」は、あいにく、意地悪く、の意である。
 二句「人目も知らぬ」は、人目も構わない、の意である。
 三句「涙かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、三句切れとなる。
 四句「堪へぬ心に」は、こらえきれない心で、の意である。
 結句「忍ぶかひなく」は、忍んでいる甲斐もなく、の意で、倒置によって嘆きを示している。

あやにくなり:あいにくである、意地が悪い
作者
西行
出典
山家集
前の歌
袖の上の人目知られし折までは みさをなりける我が涙かな
次の歌
荻の音は物思ふ我か何なれば こぼるる露の袖に置くらん