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訪はれぬも訪はぬ心のつれなさも
憂きは変はらぬ心地こそすれ

歌の意味
あの人に訪ねてもらえないことも、自分から訪ねない心の冷たさも、つらさは変わらない気持ちがすることだ。
鑑賞
雑歌 1279

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 あの人に訪ねてもらえないことも、意地を張って自分から訪ねない心の冷たさも、どちらもつらさに変わりはない気持ちがする、と詠む。
 「訪はれぬ」と「訪はぬ」とを対にし、待つ側のつらさも、意地を張る側のつらさも同じだと詠んでいる。疎遠になった恋人同士の、互いに素直になれない苦しさが表れている。

 初句「訪はれぬも」は、訪ねてもらえないことも、の意で、「れ」は受身の助動詞である。
 二句「訪はぬ心の」は、自分から訪ねない心の、の意で、初句と対をなしている。
 三句「つれなさも」は、冷たさも、の意である。
 四句「憂きは変はらぬ」は、つらさは変わらない、の意である。
 結句「心地こそすれ」の「こそ」は強意の係助詞で、已然形「すれ」で結ぶ係り結びとなる。

つれなし:冷淡である、薄情である
作者
西行
出典
山家集
前の歌
忘られんことをばかねて思ひにき 何驚かす涙なるらん
次の歌
つらからん人ゆゑ身をば恨みじと 思ひしことも叶はざりけり