古典和歌stream

色深き涙の川の水上は
人を忘れぬ心なりけり

歌の意味
色の深い紅の涙の川の、その水源は、あの人を忘れられない心であったよ。
鑑賞
雑歌 1283

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 紅に色深く流れる涙の川、その水源をたどってゆくと、あの人を忘れることのできない心であった、と詠む。
 大量に流れる涙を川にたとえ、その源を問うという趣向で、涙の原因が忘れられない恋心にあることを示している。「色深き」は、血の涙の紅の色の深さと、思いの深さとを重ねている。

 初句「色深き」は、紅の色の深い、の意で、血の涙を示すとともに思いの深さを響かせている。
 二句「涙の川の」は、川のように流れる涙の、の意である。
 三句「水上は」は、川の源は、の意である。
 四句「人を忘れぬ」は、あの人を忘れられない、の意である。
 結句「心なりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、心であったよ、と結ぶ。

みなかみ:川の源、水源
作者
西行
出典
山家集
前の歌
わりなしな袖に嘆きの満つままに 命をのみも厭ふ心は
次の歌
待ちかねてひとりは伏せど敷妙の 枕並ぶるあらましぞする