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待ちかねてひとりは伏せど敷妙の
枕並ぶるあらましぞする

歌の意味
待ちきれずに一人で寝てはいるけれども、枕を並べて共に寝る様子をつい思い描いてしまう。
鑑賞
雑歌 1284

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 恋しい人の訪れを待ちきれずに一人で寝ているけれども、二人で枕を並べて寝る姿を、つい思い描いてしまう、と詠む。
 一人寝の寂しさの中で、叶わぬ共寝を空想してしまう切ない心を詠んでいる。なお本文の初句は「侍ちかねて」とあり、読み仮名の行の「まちかねて」と一致しない。ここでは読み仮名の行に従い、「侍」を「待」の誤記と見て「待ちかねて」と読む。

 初句「待ちかねて」は、待ちきれずに、の意である。
 二句「ひとりは伏せど」の「ど」は逆接で、一人で寝ているけれども、の意である。
 三句「敷妙の」は「枕」にかかる枕詞である。
 四句「枕並ぶる」は、枕を並べる、の意で、共寝を表す。
 結句「あらましぞする」の「あらまし」は、心に思い描くこと、予想の意で、「ぞ」は強意の係助詞として連体形「する」と係り結びをなす。

しきたへの:「枕」「床」などにかかる枕詞
あらまし:予想、心に思い描くこと
作者
西行
出典
山家集
前の歌
色深き涙の川の水上は 人を忘れぬ心なりけり
次の歌
訪へかしな情けは人の身のためを 憂き我とても心やはなき