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訪へかしな情けは人の身のためを
憂き我とても心やはなき

歌の意味
訪ねてきてほしいものだ。情けをかけるのは、その人自身のためでもあるのに。つらい身の私にだって、心がないことがあろうか。
鑑賞
雑歌 1285

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 せめて訪ねてきてほしい、情けをかけることは、かけるその人自身のためにもなるのに、つらい身の私だって心がないわけではない、と詠む。
 情けは人のためならず、という考えを踏まえ、相手に訪れを促している。下の句では、取るに足りない身であっても、恋する心は持っているのだと訴えている。

 初句「訪へかしな」の「かし」は念押しの終助詞、「な」は詠嘆で、訪ねてきてほしい、と強く願う初句切れである。
 二句「情けは人の」は、情けは、かけるその人の、の意である。
 三句「身のためを」の「を」は逆接で、身のためにもなるのに、の意である。
 四句「憂き我とても」は、つらい身の私であっても、の意である。
 結句「心やはなき」の「やは」は反語で、心がないことがあろうか、いやある、と結ぶ。

なさけ:思いやり、情愛
作者
西行
出典
山家集
前の歌
待ちかねてひとりは伏せど敷妙の 枕並ぶるあらましぞする
次の歌
言の葉の霜枯れにしに思ひにき 事の情けもかからましとは