古典和歌stream

ながらへて人のまことを見るべきに
恋に命の絶えんものかは

歌の意味
生き長らえて、あの人の真心を見届けるべきなのに、恋のために命が絶えてよいものだろうか。
鑑賞
雑歌 1288

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 生き長らえて、あの人の真心がどうであるかを見届けるべきなのに、恋のために命が絶えてしまってよいものだろうか、と詠む。
 恋の苦しみに命も絶えそうになりながらも、相手の真意を見届けるまでは死ねないと自らを励ます心である。前の第千二百八十二首で命を厭うと詠んだのとは逆に、ここでは生きる意志が示されている。

 初句「ながらへて」は、生き長らえて、の意である。
 二句「人のまことを」は、あの人の真心を、の意である。
 三句「見るべきに」は、見届けるべきなのに、の意である。
 四句「恋に命の」は、恋のために命が、の意である。
 結句「絶えんものかは」の「ものかは」は反語で、絶えてよいものか、いや絶えてはならない、と結ぶ。

まこと:真心、誠実さ
作者
西行
出典
山家集
前の歌
夜もすがら恨みを袖に湛ふれば 枕に波の音ぞ聞こゆる
次の歌
頼めおきしその言ひ事やあだなりし 波越えぬべき末の松山