頼めおきしその言ひ事やあだなりし
波越えぬべき末の松山
- 歌の意味
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頼みに思わせておいたあの約束の言葉は、むなしいものであったのか。波が越えてしまいそうな末の松山であることよ。
- 鑑賞
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雑歌 1289
詞書は前の歌に続き「恋百十首」
心変わりはしないと頼みに思わせておいたあの約束は、むなしいものだったのか、波が越えてしまいそうな末の松山だ、と詠む。
古今和歌集の東歌「君をおきてあだし心をわが持たば末の松山波も越えなむ」を踏まえている。末の松山を波が越えることは、ありえないこと、すなわち心変わりのたとえであり、その波が越えそうだということで、相手の心変わりを嘆いている。
初句「頼めおきし」は、頼みに思わせておいた、の意で、字余りとなっている。
二句「その言ひ事や」は、その約束の言葉は、の意で、「や」は疑問の係助詞として三句の連体形「し」と係り結びをなす。
三句「あだなりし」は、むなしいものであったのか、の意で、本歌の「あだし心」を響かせ、三句切れとなる。
四句「波越えぬべき」の「ぬべき」は強い推量で、波が越えてしまいそうな、の意である。
結句「末の松山」は陸奥国の歌枕で、本歌を踏まえた体言止めである。
すゑのまつやま:陸奥国の歌枕。波が越えないことから心変わりしないことのたとえとされた
あだなり:むなしい、誠実でない
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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ながらへて人のまことを見るべきに 恋に命の絶えんものかは
- 次の歌
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川の瀬によに消えやすきうたかたの 命をなぞや君が頼むる