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菅の根の長く物をば思はじと
手向けし神に祈りしものを

歌の意味
長く思い悩むことはすまいと、手向けをした神に祈ったのに。
鑑賞
雑歌 1294

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 長く恋に思い悩むことはすまいと、手向けをして神に祈ったのに、その甲斐もなく、と詠む。
 恋の苦しみから逃れるために神に祈ったのに、その願いが聞き届けられず、なお長く物思いが続くことを嘆いている。結句の「ものを」で言いさして、祈りのむなしさを余情として残している。

 初句「菅の根の」は「長く」にかかる枕詞である。
 二句「長く物をば」は、長く物思いを、の意である。
 三句「思はじと」の「じ」は打消意志の助動詞で、するまいと、の意である。
 四句「手向けし神に」は、幣を手向けた神に、の意である。
 結句「祈りしものを」の「ものを」は逆接で、祈ったのに、と言いさして余情を残している。

すがのねの:「長し」「乱る」などにかかる枕詞
たむく:神に幣などを供える
作者
西行
出典
山家集
前の歌
身をも厭ひ人のつらさも嘆かれて 思ひ数ある頃にもあるかな
次の歌
うちとけてまどろまばやは唐衣 夜な夜な返すかひもあるべき