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言問へばもて離れたるけしきかな
うららかなれや人の心の

歌の意味
話しかけると、よそよそしく離れた様子であることよ。のどかで平然としているのか、あの人の心は。
鑑賞
雑歌 1297

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 話しかけると、すっかりよそよそしい様子であることよ、のどかで何とも思っていないのだろうか、あの人の心は、と詠む。
 こちらの必死の思いに対して、何事もないかのように平然としている相手の心を「うららか」と表した点が鮮やかである。春の日ののどかさを表す言葉を、恋の冷淡さに用いた皮肉が効いている。

 初句「言問へば」は、話しかけると、の意である。
 二句「もて離れたる」は、よそよそしく離れている、の意である。
 三句「けしきかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、三句切れとなる。
 四句「うららかなれや」の「うららか」は、のどかで平然としている意で、「や」は疑問である。
 結句「人の心の」は、あの人の心が、の意で、倒置によって四句の主語を示している。

もてはなる:よそよそしくする、離れる
うららかなり:のどかで晴れやかである
作者
西行
出典
山家集
前の歌
我がつらきことにをなさんおのづから 人目を思ふ心ありやと
次の歌
物思ふ袖に嘆きの丈見えて 忍ぶ知らぬは涙なりけり