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物思ふ袖に嘆きの丈見えて
忍ぶ知らぬは涙なりけり

歌の意味
物思いをする袖に、嘆きの深さのほどが見えて、忍ぶということを知らないのは涙であったよ。
鑑賞
雑歌 1298

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 物思いに沈む私の袖には、嘆きの深さのほどがはっきりと見えて、忍ぶということを知らないのは涙であった、と詠む。
 袖を濡らす涙の量が、そのまま嘆きの深さを示してしまうことを詠んでいる。本巻の第千二百四十七首と同じく、忍ぶ恋を露わにしてしまう涙を主題としている。

 初句「物思ふ」は、物思いをする、の意である。
 二句「袖に嘆きの」は、袖に嘆きの、の意である。
 三句「丈見えて」の「丈」は、深さ、ほど、の意で、字余りとなっている。
 四句「忍ぶ知らぬは」は、忍ぶということを知らないのは、の意である。
 結句「涙なりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、涙であったよ、と結ぶ。

たけ:深さ、程度
作者
西行
出典
山家集
前の歌
言問へばもて離れたるけしきかな うららかなれや人の心の
次の歌
草の葉にあらぬ袂も物思へば 袖に露置く秋の夕暮