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恨みじと思ふ我さへつらきかな
訪はで過ぎぬる心強さを

歌の意味
恨むまいと思っている私でさえ、つらいことよ。訪ねてこないまま過ぎてしまうあの人の心の強さを。
鑑賞
雑歌 1306

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 あの人を恨むまいと思っている私でさえ、つらく思われることだ、訪ねてくることもなく過ぎてしまう、あの人の心の強さが、と詠む。
 恨まないと決めている自分にさえ、相手の冷淡さはこたえるという、我慢の限界を詠んでいる。「心強さ」は、情に流されない強情さ、冷淡さを皮肉を込めて言った表現である。

 初句「恨みじと」の「じ」は打消意志の助動詞で、恨むまいと、の意である。
 二句「思ふ我さへ」の「さへ」は添加の副助詞で、思っている私でさえ、の意である。
 三句「つらきかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、三句切れとなる。
 四句「訪はで過ぎぬる」の「で」は打消の接続助詞で、訪ねないで過ぎてしまう、の意である。
 結句「心強さを」は、気強さ、冷淡さを、の意で、倒置によってつらく思う対象を示している。

こころづよし:気強い、情に動かされない
作者
西行
出典
山家集
前の歌
我のみぞ我が心をばいとほしむ あはれぶ人のなきにつけても
次の歌
いつとなきおもひは富士の煙にて うち伏す床やうき島が原