- 歌の意味
- 紅の涙で洗う袂の濃い色は、恋い焦がれて物思いをしているからであったよ。
- 鑑賞
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雑歌 1310
詞書は前の歌に続き「恋百十首」
紅の涙で洗われる袂の色がこれほど濃いのは、恋い焦がれて物思いをしているからであった、と詠む。
血の涙で袂が紅に染まるという表現に、「焦がれ」を重ね、恋に焦がれる心が袂を濃い色に染めていると見ている。紅の色と焦げる色とを重ねた、色彩の鮮やかな一首である。
初句「紅に」は、紅の涙で、の意である。
二句「あらふ袂の」は、洗われる袂の、の意である。
三句「濃き色は」は、濃い色は、の意である。
四句「焦がれて物を」の「焦がる」は、恋い焦がれる意で、色の焦げる意も響かせている。
結句「思ふなりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、物思いをしているからであった、と結ぶ。
こがる:恋い焦がれる。物が焦げる意を響かせる
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- などか我つらき人ゆゑ物を思ふ 契りをしもは結びおきけん
- 次の歌
- 堰きかねてさはとて流す滝つ瀬に 湧く白玉は涙なりけり