- 歌の意味
- せき止めきれずに、それならばと流してしまう急流に湧き立つ白玉は、私の涙であったよ。
- 鑑賞
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雑歌 1311
詞書は前の歌に続き「恋百十首」
せき止めきれずに、もうそれならばと流してしまう急流に湧き立つ白い水しぶきの玉は、私の涙であった、と詠む。
あふれる涙を急流にたとえ、そのしぶきを白玉に見立てている。忍びきれなくなった涙を、もう抑えるのをやめて流してしまう、開き直りのような心が表れている。
初句「堰きかねて」は、せき止めきれずに、の意である。
二句「さはとて流す」は、それならばと流してしまう、の意である。
三句「滝つ瀬に」は、急流に、の意である。
四句「湧く白玉は」は、湧き立つ白い玉は、の意で、水しぶきを玉に見立てている。
結句「涙なりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、涙であったよ、と結ぶ。
たきつせ:急流、早瀬
しらたま:白い玉。水しぶきや涙を見立てる
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- 紅にあらふ袂の濃き色は 焦がれて物を思ふなりけり
- 次の歌
- 嘆かじと包みし頃の涙だに うちまかせたる心地やはせし