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なぞもかく事新しく人の問ふ
我物思ふふりにしものを

歌の意味
どうしてこのように、今さら事新しく人が尋ねるのだろう。私が物思いをするのは、もう古いことなのに。
鑑賞
雑歌 1317

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 どうしてこのように、今さら事新しく人が物思いの理由を尋ねるのだろう、私が物思いをするのは、もうずっと前からの古いことなのに、と詠む。
 長く続く恋の物思いを、人はようやく気づいて新しいことのように尋ねるが、本人にとってはもう古びたことだという、恋の長さを示している。本巻の第千二百八十一首と同じく、涙や物思いが日常となった恋の長さを詠んでいる。

 初句「なぞもかく」は、どうしてこのように、の意である。
 二句「事新しく」は、今さら新しいことのように、の意である。
 三句「人の問ふ」は、人が尋ねる、の意で、三句切れとなる。
 四句「我物思ふ」は、私が物思いをすることは、の意である。
 結句「ふりにしものを」の「ふる」は古くなる意で、「ものを」は逆接の詠嘆として、古いことなのに、と結ぶ。

ふる:古くなる、年を経る
作者
西行
出典
山家集
前の歌
綾ひねるささめの小蓑衣に着ん 涙の雨もしのぎがてらに
次の歌
死なばやと何思ふらん後の世も 恋は世に憂きこととこそ聞け