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君慕ふ心のうちは稚児めきて
涙もろくもなる我が身かな

歌の意味
あなたを慕う心の内は子どものようになって、涙もろくもなってしまう我が身であることよ。
鑑賞
雑歌 1321

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 あなたを慕う心の中は、まるで幼い子どものようになって、すぐに涙を流す涙もろい我が身になってしまった、と詠む。
 前歌の「幼びて」を受け、恋のために子どものように涙もろくなる自分を詠んでいる。大人の分別を失わせる恋の力を、素直に表している。

 初句「君慕ふ」は、あなたを慕う、の意である。
 二句「心のうちは」は、心の中は、の意である。
 三句「稚児めきて」は、子どもらしくなって、の意で、前歌の「幼びて」と響き合っている。
 四句「涙もろくも」は、涙もろくも、の意である。
 結句「なる我が身かな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。

ちごめく:子どもらしくなる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
いとほしやさらに心の幼びて 魂切れらるる恋もするかな
次の歌
なつかしき君が心の色をいかで 露も散らさで袖に包まん