古典和歌stream

言ひ立てて恨みはいかにつらからん
思へば憂しや人の心は

歌の意味
はっきりと口に出して恨みを言ったら、どんなにつらいことだろう。思えばつらいことよ、あの人の心は。
鑑賞
雑歌 1329

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 恨みをはっきりと言い立てたら、どんなにか関係がつらいものになるだろう、それを思うと、あの人の心は本当につらいものだ、と詠む。
 相手の冷たさを恨みながらも、口に出せばかえって関係が壊れることを恐れて言えない、という葛藤を詠んでいる。恨みを胸に秘めるしかない苦しさが表れている。

 初句「言ひ立てて」は、はっきりと口に出して、の意である。
 二句「恨みはいかに」は、恨みはどんなにか、の意である。
 三句「つらからん」の「ん」は推量の助動詞で、つらいことだろう、の意を表し、三句切れとなる。
 四句「思へば憂しや」の「や」は詠嘆で、思えばつらいことよ、の意である。
 結句「人の心は」は、あの人の心は、の意で、倒置によってつらさの対象を示している。

いひたつ:はっきりと言い表す
作者
西行
出典
山家集
前の歌
ひとりきて我が身にまとふ唐衣 しほしほとこそ泣き濡らさるれ
次の歌
嘆かるる心のうちの苦しさを 人の知らばや君に語らん