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嘆かるる心のうちの苦しさを
人の知らばや君に語らん

歌の意味
嘆かずにはいられない心の内の苦しさを、もしほかの人が知ったならば、あなたに語ってくれるだろうか。
鑑賞
雑歌 1330

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 嘆かずにはいられない心の内の苦しさを、もし誰かほかの人が知ったならば、その人があなたに語ってくれるだろうか、と詠む。
 自分では伝えられない苦しさを、第三者を介してでも相手に伝えたいという、もどかしい願いである。本巻の第千二百五十三首でも、心の内の苦しさを伝えるすべを求めて嘆いていた。

 初句「嘆かるる」の「るる」は自発の助動詞で、自然と嘆かれる、の意である。
 二句「心のうちの」は、心の中の、の意である。
 三句「苦しさを」は、苦しさを、の意である。
 四句「人の知らばや」の「ば」は仮定条件、「や」は疑問の係助詞で、ほかの人が知ったならば、の意である。
 結句「君に語らん」は「や」の結びとして連体形で、あなたに語るだろうか、と結ぶ。

なげかる:自然と嘆かれる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
言ひ立てて恨みはいかにつらからん 思へば憂しや人の心は
次の歌
人知れぬ涙にむせぶ夕暮は ひきかづきてぞうち伏されける