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人知れぬ涙にむせぶ夕暮は
ひきかづきてぞうち伏されける

歌の意味
人知れず流す涙にむせび泣く夕暮れは、衣を頭からかぶって、ついうつ伏してしまうことだ。
鑑賞
雑歌 1331

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 人に知られないように流す涙にむせび泣く夕暮れには、衣を頭からかぶって、ついうつ伏してしまう、と詠む。
 夕暮れは恋人を待つ時刻であり、物思いの募る時である。その時刻に、泣き顔を隠すために衣をかぶって伏してしまうという、具体的な仕草によって忍ぶ恋の悲しみを描いている。

 初句「人知れぬ」は、人に知られない、の意である。
 二句「涙にむせぶ」は、涙にむせび泣く、の意である。
 三句「夕暮は」は、夕暮れには、の意である。
 四句「ひきかづきてぞ」の「ひきかづく」は、衣を頭からかぶる意で、「ぞ」は強意の係助詞として連体形「ける」と係り結びをなす。
 結句「うち伏されける」の「れ」は自発の助動詞で、ついうつ伏してしまう、の意を表す。

ひきかづく:衣などを頭からかぶる
むせぶ:むせび泣く
作者
西行
出典
山家集
前の歌
嘆かるる心のうちの苦しさを 人の知らばや君に語らん
次の歌
思ひきやかかる恋路に入り初めて 避くかたもなき嘆きせんとは