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知らざりき身にあまりたる嘆きして
隙なく袖を絞るべしとは

歌の意味
知らなかった。身に余るほどの嘆きをして、絶え間なく涙の袖を絞ることになろうとは。
鑑賞
雑歌 1334

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 知らなかった、この身に余るほどの嘆きをして、絶え間なく涙に濡れた袖を絞ることになろうとは、と詠む。
 本巻の第千三百三十二首の「思ひきや」と同じく、恋の苦しみの深さを予想もしなかったという驚きを、初句で言い切って表している。袖を絞るほどの涙という誇張が、嘆きの深さを示している。

 初句「知らざりき」の「き」は過去の助動詞で、知らなかった、と言い切る初句切れである。
 二句「身にあまりたる」は、身に余るほどの、の意である。
 三句「嘆きして」は、嘆きをして、の意である。
 四句「隙なく袖を」は、絶え間なく袖を、の意である。
 結句「絞るべしとは」は、絞ることになろうとは、の意で、倒置によって初句の内容を示している。

ひまなし:絶え間がない
作者
西行
出典
山家集
前の歌
危ふさに人目ぞつねに避かれける 岩の角踏むほきの懸け道
次の歌
吹く風に露もたまらぬ葛の葉の うらかへれとは君こそ思へ