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君に染む心の色の深さには
匂ひもさらに見えぬなりけり

歌の意味
あなたに染まった心の色の深さには、表に現れる色つやも、まったく見えないのであったよ。
鑑賞
雑歌 1342

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 あなたに深く染まった私の心の色は、あまりにも深いので、かえって表に現れる色つやもまったく見えないのであった、と詠む。
 色が深すぎて、かえって外からは見えないという逆説によって、表に出せないほど深い恋心を表している。「匂ひ」は色の美しさ、色つやの意で、心の色の縁語となっている。

 初句「君に染む」は、あなたに染まる、の意である。
 二句「心の色の」は、心の色の、の意で、恋心を色にたとえている。
 三句「深さには」は、その深さには、の意である。
 四句「匂ひもさらに」の「匂ひ」は色つやの意で、「さらに」は打消と呼応して、まったく、の意を表す。
 結句「見えぬなりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、見えないのであった、と結ぶ。

にほひ:色の美しさ、色つや
作者
西行
出典
山家集
前の歌
取り残し思ひもかけぬ露払ひ あなくらたかの我が心や
次の歌
さもこそは人目思はずなり果てて あなさまにくの袖の雫や