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とにかくに厭はまほしき世なれども
君がすむにも引かれぬるかな

歌の意味
何かにつけて捨て去りたいこの世ではあるけれど、あなたが住んでいることにも心が引かれてしまうことよ。
鑑賞
雑歌 1348

詞書は前の歌に続き「恋百十首」
 何かにつけて厭い捨てたいと思うこの世ではあるけれども、あなたが住んでいるということにも、心が引きとめられてしまう、と詠む。
 遁世を願う心と、恋する人への執着とが葛藤する、西行ならではの恋歌である。この世を捨てたいと思いながらも、恋しい人がいるために捨てきれない心が表れている。

 初句「とにかくに」は、何かにつけて、あれこれと、の意である。
 二句「厭はまほしき」の「まほし」は希望の助動詞で、厭い捨てたい、の意である。
 三句「世なれども」は、世であるけれども、の意である。
 四句「君がすむにも」の「すむ」は、「住む」意に、心の「澄む」を響かせている。
 結句「引かれぬるかな」の「れ」は自発の助動詞で、心が引かれてしまうことよ、と結ぶ。

いとふ:嫌う、世を捨てる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
うち絶えて君に逢ふ人いかなれや 我が身も同じ世にこそは経れ
次の歌
何事につけてか世をば厭はまし 憂かりし人ぞ今日は嬉しき