逢ふと見しその夜のりのさめてあれな
長き眠りは憂かるべけれど
- 歌の意味
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逢ったと見たその夜の夢が、覚めないでいてほしい。長い眠り、すなわち死はつらいものであろうけれども。
- 鑑賞
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雑歌 1350
詞書は前の歌に続き「恋百十首」
恋の百十首の最後の一首である。恋しい人に逢ったと見たその夜の夢が、どうか覚めないでいてほしい、そのまま長い眠り、すなわち死に至るのはつらいことであろうけれども、と詠む。
夢の逢瀬が覚めないことを願い、それが死を意味しても構わないとする、恋の極みの願いである。本文の二句は「そのよのりのさ」とあって語義がとりにくいが、「その夜の夢の」の意に解する。「長き眠り」は仏教で迷いの生死を言う「長夜の眠り」をも響かせ、恋の連作を、無明の眠りへの思いで締めくくっている。
初句「逢ふと見し」は、逢ったと夢に見た、の意である。
二句「その夜のりの」は、本文の表記に従ったもので、語義がとりにくいが、「その夜の夢の」の意に解する。
三句「さめてあれな」は、本文の表記では「覚めてあれな」となるが、文意から、覚めないでいてほしい、の意に解される。「な」は願望の終助詞で、三句切れとなる。
四句「長き眠りは」は、長い眠り、すなわち死は、の意で、仏教の長夜の眠りを響かせている。
結句「憂かるべけれど」は、つらいことであろうけれども、の意である。
ながきねぶり:長い眠り。死、また迷いの世界にあることのたとえ
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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何事につけてか世をば厭はまし 憂かりし人ぞ今日は嬉しき
- 次の歌
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巻ごとに玉の声せし玉章の たぐひはまたもありけるものを