曇りなき山にて海の月見れば
島ぞ氷の絶え間なりける
- 歌の意味
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曇りのない山の上から、海に照る月を見ると、島々こそが、氷の張りつめたような海面の切れ目であったよ。
- 鑑賞
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雑歌 1356
詞書「同じ国に、大師のおはしましける御あたりの山に、庵結びて住みけるに、月いと明かくて、海の方曇りなく見えければ」
同じ讃岐国の、弘法大師ゆかりの地の近くの山に庵を結んで住んでいたとき、月がたいそう明るく、海の方が曇りなく見渡せたので詠んだ一首である。曇りのない山から海の月を見ると、月光に照らされた海面は氷が一面に張ったようで、島々こそがその氷の切れ目であった、と詠む。
月光に白く輝く海面を氷に見立て、点在する島影を氷の絶え間とする、壮大で鮮やかな見立ての歌である。瀬戸内海の島々を見下ろす実景が背景にある。
初句「曇りなき」は、曇りのない、の意で、山と月光の澄明さを表す。
二句「山にて海の」は、山の上から海の、の意である。
三句「月見れば」は、月を見ると、の意である。
四句「島ぞ氷の」の「ぞ」は強意の係助詞で、結句の連体形「ける」と係り結びをなす。月光の海面を氷に見立てている。
結句「絶え間なりける」は、氷の切れ目であったよ、と結ぶ。
たえま:途切れた間、切れ目
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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よしや君昔の玉の床とても かからん後は何にかはせん
- 次の歌
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今よりは厭はじ命あればこそ かかる住まひのあはれをも知れ