ここをまた我住み憂くて浮かれなば
松はひとりにならんとすらん
- 歌の意味
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ここをまた私が住みにくく思ってさまよい出てしまったならば、松はひとりぼっちになってしまうのだろう。
- 鑑賞
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雑歌 1359
詞書は前の歌に続き「庵の前に、松の立てりけるを見て」
前歌に続き、庵の前の松を詠んだ一首である。私がまたこの地にも住みづらくなって、さまよい出てしまったならば、この松はひとりぼっちになってしまうのだろう、と松を思いやっている。
前歌で死後の弔いを託した松を、今度は自分が去った後に残される者として思いやっている。各地を転々としてきた漂泊の身を自覚しつつ、松との別れを惜しむ心である。なお本文の資料では、この歌の位置に「雪の降りけるに」の語が置かれているが、歌の内容から前歌の松を詠んだものと見て、詞書は前歌から続くものとした。「雪の降りけるに」は次歌以下の詞書と見られる。
初句「ここをまた」は、この地をもまた、の意で、これまで各地を去ってきたことを踏まえている。
二句「我住み憂くて」は、私が住みづらく思って、の意である。
三句「浮かれなば」の「なば」は完了の助動詞「ぬ」の未然形に「ば」が付いた仮定条件で、さまよい出てしまったならば、の意である。
四句「松はひとりに」は、松はひとりぼっちに、の意で、松を擬人化している。
結句「ならんとすらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、なってしまうのだろう、と結ぶ。
すみうし:住みづらい
うかる:心が落ち着かず、さまよい出る
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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久に経て我が後の世を訪へよ松 跡偲ぶべき人もなき身ぞ
- 次の歌
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松の下は雪降る折の色なれや 皆白妙に見ゆる山路に