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まがふ色は梅とのみ見て過ぎ行くに
雪の花には香ぞなかりける

歌の意味
見まがう白い色を梅の花だとばかり見て通り過ぎてゆくと、雪の花には香りがなかったよ。
鑑賞
雑歌 1363

詞書は前の歌に続き「雪の降りけるに」
 見まがう白い色を、梅の花だとばかり思って見ながら通り過ぎてゆくと、雪の花には香りがなかった、と詠む。
 白梅と雪とを見まがうのは和歌の伝統的な趣向であるが、色は似ていても香りがないことで雪だと気づくという、嗅覚による発見を詠んでいる。前の二首で雪を花に見立てたのを受け、その見立ての限界に気づく機知の歌である。

 初句「まがふ色は」は、見まがう色は、の意で、字余りとなっている。
 二句「梅とのみ見て」は、梅の花だとばかり見て、の意である。本文は「むめ」と表記している。
 三句「過ぎ行くに」は、通り過ぎてゆくと、の意である。
 四句「雪の花には」は、雪の花には、の意である。
 結句「香ぞなかりける」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形「ける」と係り結びをなし、香りがなかったよ、と結ぶ。

まがふ:見分けがつかないほど似ている
作者
西行
出典
山家集
前の歌
花と見る梢の雪に月冴えて たとへん方もなき心地する
次の歌
折しもあれ嬉しく雪の埋むかな かきこもりなんと思ふ山路を