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中々に谷の細道埋め雪
ありとて人の通ふべきかは

歌の意味
いっそのこと、谷の細道を埋めてしまえ、雪よ。道があるからといって、人が通ってくるはずもないのだから。
鑑賞
雑歌 1365

詞書は前の歌に続き「雪の降りけるに」
 いっそのこと谷の細道を埋めてしまえ、雪よ、道があるからといって、誰かが通ってくるはずもないのだから、と詠む。
 前歌で雪が山路を埋めることを喜んだのを受け、どうせ人は来ないのだから、いっそ道を埋めてしまえと雪に呼びかけている。開き直りの中に、人恋しさの裏返しとしての寂しさもにじんでいる。

 初句「中々に」は、かえって、いっそのこと、の意である。
 二句「谷の細道」は、谷あいの細い道を、の意である。
 三句「埋め雪」は、埋めよ雪よ、の意で、命令形で雪に呼びかける三句切れである。
 四句「ありとて人の」は、道があるからといって人が、の意である。
 結句「通ふべきかは」の「かは」は反語で、通ってくるはずがあろうか、いやない、と結ぶ。

なかなかに:かえって、いっそのこと
作者
西行
出典
山家集
前の歌
折しもあれ嬉しく雪の埋むかな かきこもりなんと思ふ山路を
次の歌
谷の庵に玉の簾をかけましや すがるたるひの軒を閉ぢずは