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岩にせく閼伽井の水のわりなきに
心澄めとも宿る月かな

歌の意味
岩にせき止められた閼伽井の水がわずかで心もとないのに、心を澄ませよとばかりに宿っている月であることよ。
鑑賞
雑歌 1368

詞書なし
 岩にせき止められた閼伽井の水がわずかで心もとないのに、それでも、心を澄ませよと言うかのように、月がその水に宿っていることよ、と詠む。
 前歌に続き、仏に供える閼伽の水を詠んでいる。わずかな水にも宿る月の光に、仏の教えの光を見て、心を澄ませるよう促されるという仏道の境地を表している。

 初句「岩にせく」は、岩にせき止められた、の意である。
 二句「閼伽井の水の」の「閼伽井」は、仏に供える水を汲む井戸の意である。
 三句「わりなきに」は、どうにもならないほどわずかなのに、の意に解される。
 四句「心澄めとも」は、心を澄ませよとも、の意である。
 結句「宿る月かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、水に映る月を詠嘆している。

あかゐ:仏に供える水を汲む井戸
作者
西行
出典
山家集
前の歌
樒置く閼伽の折敷の縁なくは 何に霰の玉と散らまし
次の歌
あはれなり同じ野山に立てる木の かかるしるしの契りありける