あはれなり同じ野山に立てる木の
かかるしるしの契りありける
- 歌の意味
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しみじみと心を打たれることだ。同じ野山に立っている木なのに、このように大師の誕生のしるしとなる縁があったとは。
- 鑑賞
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雑歌 1369
詞書「大師の生まれさせ給ひたる所とて、巡り仕回して、そのしるしに松の立てりけるを見て」
弘法大師がお生まれになった所として、周りを囲ってあり、その目印に松が立っているのを見て詠んだ一首である。しみじみと心を打たれる、同じ野山に立つ木でありながら、この松にはこのように大師誕生のしるしとなる縁があったのだ、と詠む。
讃岐の善通寺は弘法大師の生誕地とされる。数ある木の中から、大師の聖地のしるしとして選ばれた松の宿縁に感動し、大師への崇敬の念を表している。以下、讃岐の大師の遺跡をめぐる歌が続く。
初句「あはれなり」は、しみじみと心を打たれる、と言い切る初句切れである。
二句「同じ野山に」は、ほかの木と同じ野山に、の意である。
三句「立てる木の」は、立っている木の、の意である。
四句「かかるしるしの」は、このような大師誕生のしるしとなる、の意である。
結句「契りありける」は、縁があったのだ、の意で、連体形止めによって詠嘆を込めている。
しるし:目印
ちぎり:前世からの因縁、宿縁
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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岩にせく閼伽井の水のわりなきに 心澄めとも宿る月かな
- 次の歌
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巡り逢はんことの契りぞありがたき 厳しき山の誓ひ見るにも