下り立ちて浦田に拾ふ海人の子は
つみよりつみを習ふなりけり
- 歌の意味
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浜に下り立って浦の田で拾い物をする漁師の子は、つみという貝を拾うことから、殺生の罪を習うのであったよ。
- 鑑賞
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雑歌 1373
詞書「日比、渋川と申す方へまはりて、四国の方へ渡らんとしけるに、風悪しくて、程経けり、渋川の浦と申す所に、幼き者どもの、あまた物を拾ひけるを問ひければ、つみと申す物拾ふなり、と申しけるを聞きて」
備前の日比、渋川という方へまわって四国へ渡ろうとしたが、風が悪くて日数がかかった。渋川の浦という所で、幼い子どもたちが大勢で何かを拾っていたので尋ねると、つみというものを拾っているのだと答えたのを聞いて詠んだ一首である。浜に下りて拾い物をする漁師の子は、つみという貝を拾うことから、殺生の罪を習ってゆくのだ、と詠む。
貝の名「つみ」と仏教の「罪」とを掛け、幼い子どもが無心に貝を拾う行為の中に、やがて殺生を生業とする運命の始まりを見ている。前歌の初竿の罪に続き、漁の営みと罪との結びつきを見つめている。
初句「下り立ちて」は、浜に下り立って、の意である。
二句「浦田に拾ふ」は、浦の田のような干潟で拾う、の意である。
三句「海人の子は」は、漁師の子どもは、の意である。
四句「つみよりつみを」は、貝の「つみ」と仏教の「罪」とを掛けた掛詞で、つみを拾うことから罪を、の意を表す。
結句「習ふなりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、習うのであったよ、と結ぶ。
つみ:貝の名「つみ」と、仏教の「罪」を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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立て初むる網捕る浦の初竿は 罪の中にもすぐれたるかな
- 次の歌
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真鍋より塩飽へ通ふ商人は つみをかひにて渡るなりけり