真鍋より塩飽へ通ふ商人は
つみをかひにて渡るなりけり
- 歌の意味
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真鍋島から塩飽島へ通う商人は、積み荷を買い、罪を櫂として海を渡るのであったよ。
- 鑑賞
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雑歌 1374
詞書「真鍋と申す島に、京より商人どもの下りて、様々の罪の物ども商ひて、又塩飽の島に渡り、商はんずるよし申しけるを聞きて」
真鍋という島に京から商人たちが下ってきて、さまざまな殺生にかかわる品々を商い、また塩飽の島に渡って商売をするつもりだと話すのを聞いて詠んだ一首である。真鍋から塩飽へ通う商人は、罪の品を買い、その罪を櫂として海を渡ってゆくのだ、と詠む。
「つみ」に「積み」と「罪」を、「かひ」に「買ひ」と「櫂」を掛け、漁獲物を商う商人の営みもまた殺生の罪にかかわるものだと見ている。前の二首の漁師の罪に続き、商人の罪を詠んでいる。なお本文の結句は「波るなりけり」とあり、読み仮名の行の「わたるなりけり」と一致しない。ここでは読み仮名の行に従い、「波」を「渡」の誤記と見て「渡るなりけり」と読む。
初句「真鍋より」は、備中国の真鍋島から、の意である。
二句「塩飽へ通ふ」は、讃岐国の塩飽諸島へ通う、の意である。
三句「商人は」は、商人は、の意である。
四句「つみをかひにて」の「つみ」は「積み」と「罪」を、「かひ」は「買ひ」と「櫂」を掛けた掛詞である。
結句「渡るなりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、渡るのであったよ、と結ぶ。
つみ:「積み」と「罪」を掛ける
かひ:「買ひ」と、舟を漕ぐ「櫂」を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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下り立ちて浦田に拾ふ海人の子は つみよりつみを習ふなりけり
- 次の歌
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同じくは牡蠣をぞ刺して干しもすべき 蛤よりは名もたよりあり