栄螺住む瀬戸の岩壺求め出でて
急ぎし海人のけしきなるかな
- 歌の意味
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栄螺の住む瀬戸の岩のくぼみを探し出して、急いで潜っていった海人の様子であることよ。
- 鑑賞
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雑歌 1376
詞書「牛窓の瀬戸に海人の出で入りて、栄螺と申す物を採りて、舟に入れ入れしけるを見て」
備前の牛窓の瀬戸で、海人が海に潜っては上がり、栄螺というものを採っては舟に入れているのを見て詠んだ一首である。栄螺の住む瀬戸の岩のくぼみを探し出して、急いで潜っていった海人の様子であることよ、と詠む。
海に潜って貝を採る海人の、きびきびとした動きを生き生きと描いている。「急ぎし」に、獲物を見つけて素早く潜る海人の姿が表れている。前の歌々の罪の観念とは別に、海人の生業を写実的に捉えた一首である。
初句「栄螺住む」は、栄螺の住んでいる、の意である。本文は「さたえ」とある。
二句「瀬戸の岩壺」は、海峡の岩のくぼみ、の意である。
三句「求め出でて」は、探し出して、の意で、字余りとなっている。
四句「急ぎし海人の」は、急いで潜った海人の、の意である。
結句「けしきなるかな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。
さだえ:栄螺の古称
せと:幅の狭い海峡
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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同じくは牡蠣をぞ刺して干しもすべき 蛤よりは名もたよりあり
- 次の歌
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岩の根にかたおもむきになみ浮きて 鮑を潜く海人の群君