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霞しく波の初花折りかけて
桜鯛釣る沖の海人舟

歌の意味
霞の立ちこめる中、波の初花が折れかかるように白く砕ける沖で、桜鯛を釣る海人の舟であることよ。
鑑賞
雑歌 1379

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 霞の立ちこめる春の沖で、波の初花が折れかかるように白く砕けるところに、桜鯛を釣る海人の舟が浮かんでいる、と詠む。
 白く砕ける波を花にたとえる「波の花」の見立てに、春に獲れる桜鯛を取り合わせ、花と桜の縁で春の海の華やかな情景を描いている。「折りかけて」は、波が砕け折れる意と、花を折り掛ける意とを重ねている。

 初句「霞しく」は、霞が一面に立ちこめる、の意である。
 二句「波の初花」は、春の初めに白く砕ける波を、初咲きの花にたとえた表現である。
 三句「折りかけて」は、波が砕け折れかかる意と、花を折り掛ける意とを重ねている。
 四句「桜鯛釣る」は、春に獲れる桜色の鯛を釣る、の意で、「花」の縁となっている。
 結句「沖の海人舟」は体言止めで、沖に浮かぶ漁師の舟を示している。

さくらだひ:春の産卵期に桜色を帯びた鯛
作者
西行
出典
山家集
前の歌
小鯛引く網の浮縄縒り組めり うきしわざある塩崎の浦
次の歌
海人人の磯して帰るひじきものは 小螺蛤寄居虫細螺