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小鮠集ふ沼の入江の藻の下は
人漬けおかねふしにぞありける

歌の意味
小鮠が集まる沼の入江の藻の下は、人が沈めておいたのではない、天然の柴漬けであったよ。
鑑賞
雑歌 1392

詞書なし
 小さな鮠が集まる沼の入江の藻の下は、人が沈めておいたわけでもないのに、魚を集める柴漬けのようになっていたのだ、と詠む。
 柴漬けは、柴を束ねて水中に沈め、そこに集まる魚を捕る漁法である。藻の茂みに魚が集まるさまを、人の手によらない自然の柴漬けと見立てている。前歌に続き、川や沼の漁をめぐる歌の一首である。なお本文の四句は「人つけおかね」とあり、読み仮名の行の「ひとつけおかぬ」と一致しない。ここでは本文の表記に従うが、「漬けおかぬ」の意に解する。

 初句「小鮠集ふ」は、小さな鮠が集まる、の意で、字余りとなっている。
 二句「沼の入江の」は、沼の入江の、の意である。
 三句「藻の下は」は、水草の下は、の意である。
 四句「人漬けおかね」は、本文の表記に従ったもので、人が沈めておいたのではない、の意に解する。
 結句「ふしにぞありける」の「ふし」は、柴を束ねて沈める柴漬けのことで、「ぞ」は強意の係助詞として連体形「ける」と係り結びをなす。

こばえ:小さな鮠
ふしづけ:柴を束ねて水中に沈め、集まる魚を捕る漁法
作者
西行
出典
山家集
前の歌
宇治川の早瀬落ち舞ふ漁舟の かづきにちがふ鯉のむらまけ
次の歌
種漬くる坪井の水の引く末に 江鮒集まる落ち合ひのわだ