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種漬くる坪井の水の引く末に
江鮒集まる落ち合ひのわだ

歌の意味
稲の種籾を浸す坪井の水を引いたその末に、江鮒が集まっている、流れの落ち合う淵であることよ。
鑑賞
雑歌 1393

詞書なし
 稲の種籾を浸すための坪井の水を引いてきた流れの末に、江鮒が群れ集まっている、水の落ち合う淵であることよ、と詠む。
 春の苗代づくりのために種籾を水に浸す農村の営みと、その水路に集まる鮒の群れとを描いている。田の水と魚とを結びつけた、のどかな農村の情景である。

 初句「種漬くる」は、稲の種籾を水に浸す、の意である。
 二句「坪井の水の」の「坪井」は、種籾を浸すための水を溜めた井、の意である。
 三句「引く末に」は、引いてきた流れの末に、の意である。
 四句「江鮒集まる」は、入江の鮒が集まる、の意である。
 結句「落ち合ひのわだ」は、流れの落ち合う淵、の意で、体言止めとなっている。

つぼゐ:種籾を浸すための水を溜めた井
わだ:川や海の曲がって深くなった所、淵
作者
西行
出典
山家集
前の歌
小鮠集ふ沼の入江の藻の下は 人漬けおかねふしにぞありける
次の歌
白縄に小鮎ひかれて下る瀬に 持ちまうけたる小目の敷網