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見るも憂きは鵜縄に逃ぐるいろくづを
逃らかさでもしたむ持ち網

歌の意味
見るのもつらいのは、鵜縄から逃げる魚を、逃がしもせずに掬い取ってしまう持ち網である。
鑑賞
雑歌 1395

詞書なし
 見るのもつらいのは、鵜縄に追われて逃げてゆく魚を、逃がしもせずにすっかり掬い取ってしまう持ち網である、と詠む。
 鵜縄は鵜飼いのように縄で魚を追う漁法で、そこから逃れた魚までも網で捕ってしまう漁の徹底ぶりに、殺生の哀れを感じている。本巻の第千三百七十二首などと同じく、漁の営みに罪を見る仏道者の目がうかがえる。語義のとりにくい語を含むが、ここでは右のように解した。

 初句「見るも憂きは」は、見るのもつらいのは、の意で、字余りとなっている。
 二句「鵜縄に逃ぐる」は、鵜縄に追われて逃げる、の意である。
 三句「いろくづを」は、魚を、の意である。
 四句「逃らかさでも」は、逃がしもせずに、の意に解される。
 結句「したむ持ち網」の「したむ」は、すっかり掬い取る意に解され、「持ち網」は手に持って使う網で、体言止めとなっている。

うなは:魚を追い立てる縄
いろくづ:魚、うろこ
作者
西行
出典
山家集
前の歌
白縄に小鮎ひかれて下る瀬に 持ちまうけたる小目の敷網
次の歌
秋風に鱸釣り舟走るめり そのひとはしの名残慕ひて